Theme- 2 飛龍班 Team HIRYU
音響サイバー空間を利用したコウモリの階層ナビゲーションの理解
コウモリは超音波を発し、その反響によって物体の距離・方向・大きさなどを知る能力(反響定位)を持つことで知られています。本研究はコウモリのモデル動物としての特徴を活かし、モノや環境などとのインタラクションを含む個体レベルのナビゲーションに始まり、より複雑な集団レベルまでの多様な階層のナビゲーションを、工学から生態学に至る幅広い手法を用いて高度に計測し、動物の意思をデザインする「行動ダイアグラム」を明らかにします。
具体的な研究方策としては、環境を認識する方法が音(エコー空間)に限定されるコウモリの生態に着目し、音響数値を解析することで動物の知覚空間を再現できる「音響サイバー空間」を構築。フィジカル空間での行動実験とシームレスに連動させていきます。これによりコウモリの高度なナビ戦術を支える外的・内的要因を明らかにし、また得られたナビモデルの工学応用にも挑みます。
さらにA02サイバー班が開発する装着型χlogbotやデータ分析手法を、アフリカ産オオコウモリ(ヒトに致死的な出血熱を引き起こすウイルスの宿主)の移動パターンの予測にも展開していきます。コウモリの階層ナビゲーションの包括的な理解は、社会の大きな課題である感染症対策につながる可能性を有しています。
A01-2 飛龍班 研究者
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◎A01-2 飛龍班 代表者 飛龍 志津子 Shizuko Hiryu
同志社大学 生命医科学部 教授
- 研究分野
- コウモリの生物ソナーシステムの解明及びその工学的応用に関する研究
- 研究キーワード
- エコーロケーション、超音波、生物音響、センシング、バイオロギング
- 研究室
- https://www1.doshisha.ac.jp/~bioinfo/
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◎分担者 小林 耕太 Kohta I Kobayasi
同志社大学 生命医科学部 教授
- 研究分野
- 音声コミュニケーションに関係する神経行動学
- 研究キーワード
- 神経行動学、音声、発声
- 研究室
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◎遊牧型ポスドク 藤岡 慧明 Emyo Fujioka
同志社大学 生命医科学部 特任准教授
- 研究分野
- 生物音響学、計測工学、行動生態学
- 研究キーワード
- コウモリ、エコーロケーション、ナビゲーション、野外実験、バイオミメティクス
- 研究室
- https://researchmap.jp/emyo_fujioka
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◎分担者 福井 大 Dai Fukui
東京大学 大学院農学生命科学研究科附属演習林 講師
- 研究分野
- コウモリ類の生態学
- 研究キーワード
- コウモリ、生態、群集、生物地理、エコーロケーション
- 研究室
- https://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/
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◎分担者 梶原 将大 Masahiro Kajihara
北海道大学 人獣共通感染症国際共同研究所 助教
- 研究分野
- ウイルス学
- 研究キーワード
- コウモリ、ウイルス性出血熱、人獣共通感染症、アフリカ、バイオロギング
- 研究室
- https://www.czc.hokudai.ac.jp/epidemiol/index_e.html
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◎分担者 小川 宏人 Hiroto Ogawa
北海道大学 大学院 理学研究院 生物科学部門 教授
- 研究分野
- 行動神経科学、システム神経科学
- 研究キーワード
- 脳、神経回路、ニューロン、昆虫、逃避行動
- 研究室
- https://www.sci.hokudai.ac.jp/~hogawa/